持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究

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精神科と精神科以外の診療科の連携について
-日本病院会会員病院とかかりつけ医への調査をもとに-

一般病院における精神科医の役割や必要性と、かかりつけ医と精神科医療の連携について明らかにするため2つの調査を行っています。
日本病院会会員病院2,469施設の管理者に対しアンケート調査を行いました。529病院から回答が得られ、単科精神科病院を除いた510病院(20.7%)のデータを解析しました。60%の病院で精神科医が勤務しており、このうち増員を希望する病院が44%ありました。精神科医が勤務していない病院では、48%が精神科医の勤務を希望していました。これらの結果から一般病院における精神科医のニーズは高いと考えました。その一方、精神病床を有する病院の28%が精神病床の削減を考えていました。精神病床は一般病床に比べ、採算面と病床利用率の面で劣ると考えられていることが大きな課題でした。
精神科医が勤務する病院を「精神病床あり」群(95施設)と「精神病床なし」群(207施設)に分けて比較しました。常勤精神科医数は「精神病床あり」群では5人以上が57%、「精神病床なし」群では平均0.8人(常勤と非常勤を合わると平均1.8人)、44%の施設が1人でした。「精神病床あり」群では精神科医の増員希望は35%、現状維持は50%でしたが、「精神病床なし」群はどちらも50%でした。精神科リエゾンチーム加算の算定率は「精神病床あり」群は55%でしたが、「精神病床なし」群は11%でした。
精神科医に期待する役割は、両群とも同じ傾向で、「入院中のせん妄や認知症への対応」が65%と群を抜いて多く、「睡眠障害への対応」や「アルコール使用障害への対応」についての期待は少数でした。睡眠障害に対する適切な睡眠薬の使用や睡眠衛生指導、アルコール使用障害に対する節酒指導は、わが国の重要な健康課題です。これらを精神科医が担当することは、その病院の医療の質の向上につながると思われ、精神科医が複数いれば、それは実現可能と考えました。
かかりつけ医と精神科医の連携については、全国各地の開業医12人に1時間の半構造化面接を行い、現在分析中です。連携を困難にしている理由について、「精神科は敷居が高い」「患者が拒む」「予約を待つ間のサポートがない」「精神科医と価値観が異なる」「精神科医とつながる機会が少ない」「精神科の資源・サービスをよく知らない」などがあげられており、興味深い結果が得られるものと考えています。

分担研究者 北村 立(石川県立高松病院)


ごあいさつ

精神疾患は、感染性疾患と非感染性疾患、故意でない外傷と故意の外傷のリスクを高めます。また多くの健康上の問題は、精神疾患のリスクを高め、これらの合併は援助希求行動、診断そして治療を複雑にして、予後に影響を及ぼします(Princeほか、2007)。
地域共生社会の構築には、それぞれの地域において良質かつ適切な精神保健医療サービスを受けられることはきわめて大切です。
しかし、都市部においては、精神保健医療ニーズの多様化と増大への対応は困難になっています。地方(特に中山間地域)においては、人口減少が進むとともに、精神保健医療を含めて、地域保健医療の確保自体が困難になっています。
本研究は、わが国が本格的な人口減少と高齢化を迎える中、精神科と他の診療科との連携、地域の多様な生活支援の取組との連携による、良質かつ適切な精神保健医療サービスを確保しつづけるための要件を明らかにすることを目的とします。また、その促進を図るモニタリングの体制と、医療計画における指標および基準病床算定式を提案することを目的とします。
本研究は、精神障害の有無や程度にかかわらず、誰もが安心して自分らしく暮らすことができるような重層的な連携による支援体制である「精神障害にも対応した地域包括ケアシステム」の構築にも寄与するものです。
本研究にご支援・ご協力をいただきますよう、何卒よろしくお願いいたします。

厚生労働行政推進調査事業費補助金(障害者政策総合研究事業)
「持続可能で良質かつ適切な精神医療とモニタリング体制の確保に関する研究」
研究代表者 竹島 正(大正大学地域構想研究所客員教授)